自衛隊音楽隊を30年前に受験した話|入るのに必要な心構えとは?

私の自衛隊音楽隊を30年前に受験した時の話と、入るにはどういう流れがあるのかや、必要な心構えについてまとめてみました。

結果的には不合格だったのですが、私の中で大きな気付きやその後の人生に影響を与える経験となったので振り返ってみました。

自衛隊音楽隊を30年前に受験した話

私が自衛隊音楽隊を受験した動機は、高校時代に航空自衛隊の演奏会を観に行ったとき、技術の高さと制服を含めたステージ上でのビジュアルに衝撃を受けたからです。

なんてかっこいいんだろう!

要はそう思ったからです。

一緒に行った友達も同じく衝撃を受け、高校卒業後の進路を考える時期とも重なり、音楽隊の試験を受けてみよう、という流れになりました。

少し話を中学時代に戻すと、私は中学で吹奏楽部に入りクラリネットと出会い、日々上達していくのが楽しくてたまらないといった心境で吹いていました。

高校へ入学してからも吹奏楽を続ける事が高校選びのメインとなっていたので、あまり将来の事を明確にせず、音楽をただただ続けたい、その思いで過ごしていました。

吹奏楽部に入ってからは、夏の吹奏楽コンクールで一つ一つの大会を勝ち上がる事が大きな目標となるんですが、そのため日々の大半のエネルギーを音楽に注ぐかっこうとなります。

私は不器用な性質なんだなあ、と、今となっては振り返る事ができますが、当時は勉強よりも部活が重要案件で、自宅でもほとんど学校の宿題そっちのけで、楽器の練習ばかりしていました。

練習といっても、楽譜とにらめっこするばかりではなく、もともと吹きたかったサックスに似せた音を出したくて、自分のクラリネットのマウスピースを外し、自作したダンボール製のアルトサックスの本体に付けて音が鳴るか試したり…といった実験なんかもしていました。

そんな感じでしたから勉強もどんどんおろそかになり、定期テストも平均点に遥か及ばず…といった結果が続き、勉強面では両親からも呆れられていたような状態でした。

自分でも、私から楽器を取ったら何も残らないんじゃないか、とすら思っていました。

中学3年生になると夏の大会に全てのエネルギーを注いでいたので、高校受験の事をはっきりと意識したのは、夏も終わりを告げる頃だったと思います。

完全にクラスメイトの受験勉強モードから乗り遅れている私でしたが、幸運にも、担任の先生が吹奏楽部の顧問だった事もあって部活での在り方を評価して下さり、高校は音楽推薦枠のある地元の商業高校へと入学できたんです。

高校でも吹奏楽ができる、その思いだけで入ったようなものでしたから、相変わらず勉強は赤点ギリギリをキープする教科もある程で、完全に授業では落ちこぼれていきました。

3年間、勉強をしなさすぎてなんとか進級するような状態でしたが、友達にも恵まれ、クラスでも部活でも、楽しく過ごせたのは奇跡的でしたね。

そして、クラスメイトが進路を考える頃には私は夏の大会に向けての練習が始まりますから、ここでも将来の事を考える余裕はありませんでした。

夏の大会は県大会での演奏をもって終わり、冬の定期演奏会までの間に進路を考えなくてはなりません。

そんな中、冒頭の自衛隊の定期演奏会を観に行った事がターニングポイントとなりました。

さて、自衛隊の音楽隊へはどうしたら入隊できるのでしょう。

そこからです。

一緒に受験しようとしている友達Mちゃんと、吹奏楽部の顧問の先生に相談しました。

顧問の先生が自衛隊の広報の方とコンタクトを取ってくれてお話を聞く機会に恵まれ、入るにはどういう流れがあるのかを教えていただきました。

音楽隊といっても自衛官ですから、まずは希望する陸・海・航空自衛隊のいずれかに所属する事になるんですね。

最初に音楽隊に入れるレベルかを見る楽器ごとのオーディションがあり、そこでまずフルイにかかり、次に自衛官になる為の試験があり、受かったら教育隊での約半年間の訓練を経て、音楽隊へ配属されるという流れでした。

私とMちゃんは共に航空自衛隊を希望していて、試験の前にオーディションを受けに行くことになりました。

私はクラリネット、Mちゃんはテナーサックスです。

はっきりと目標が決まったので、それぞれのオーディションに向けて楽器の練習が始まりました。

入るのに必要な心構えとは?

東京の自衛隊駐屯地でのオーディションへ向けて、私とMちゃんは課題曲を1曲決め、個人練習はもちろん、以前コンクールの為の練習の講師で学校へ来てくださった、航空自衛隊音楽隊員の方にレッスンをしていただいたり、顧問の先生に楽典を教わったりしました。

課題曲は、私は自分の強みは何かと考えた結果音色を褒めていただく事が多かったので、ゆったりとした曲調で音色をアピールできる曲を選びました。

曲選びに置いては音色を磨く事に集中するか、速いパッセージを練習してできるアピールをするかを迷いましたが、練習期間も短いので、音色を磨くことに決めました。

練習を始めてみると、今まで吹いてきた吹奏楽の曲は、合奏で一つの曲を仕上げていく事がほとんでしたから、ソロで一曲丸々吹ききった経験が無く、曲を通して自分を表現する事の大変さを感じました。

ソロでは自分が出ますから。

私の表現はこれで良いのか、レッスンを付けていただいても、ずっと確信が持てず悩む日々が続き、ついに本番を迎えました。

オーディションでは、曲は仕上がっていたものの、自分の表現に確信が持てていないという思いは拭えず、私の中では「落ちたな」という感覚がありました。

結果的にオーディションは合格し、あっという間に自衛隊を受験する段階となりました。

私は、自分の思うような表現ができないまま、音楽隊へ入って良いのかという思いを抱いたままで、受験勉強を始めました。

自衛隊音楽隊へ入るには、心構えとして必要な事は、自分が自衛官になるのをイメージできるか、という事です。

まずそれがありきで、その中で音楽隊員としての在り方を模索していく事になる、というのを自覚できるかというところだと思います。

私はその覚悟をしていましたが、もっとも確信を持っていなければならなかったのは、楽器を吹くことで自分の思うような表現ができる、という自信であったという事は、何十年後かに分かります。

自衛隊音楽隊を本気で目指していらっしゃる方は、詳細をこちらでご覧になられると良いと思います。

今回の記事では私の中で最も音楽と向き合う出来事となった、自衛隊の音楽隊を30年前に受験した話と、必要な心構えとは何か、という事をまとめてみました。

高校時代に自衛隊音楽隊の演奏会を観たことがきっかけで、自衛官になり音楽を続けていきたいと思っていた私でしたが、心構えを意識してはいたものの、肝心な楽器を吹くことで自分の思うような表現をできるという確信を持てないまま受験し、結果的に自衛官になれなかった事によって、違う人生を歩む事になっていきます。

一緒に受験をしたMちゃんのその後ですが、私と同じような結果であった事を報告しておきます。

何十年か経った今振り返ってみると、あの時感じた自分の思うような表現を極めるという宿題がまだ残っている事が明確になりました。

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